司法修習生も就職難の時代
一昨日の朝日新聞に、就職先未定の司法修習生(司法試験合格後の研修生。司法修習を修了しないと、裁判官・検察官・弁護士を資格を取得できません〔一部例外を除く。〕。)が100名を超えると報道されていました。どうも、これはアンケート方式による調査のようなので、回収できなかった分を考えると、実際の数は相当なものになるのではないかと危惧されます。
かつて司法試験の合格者は500人という時代がありました。それが800人になり、僕が合格したころは1000人でした。今は1500人です。一時期、検察官の増員のために司法修習生を増員していた時代もありますが、最近の増員は、弁護士を大増員して、弁護士社会を競争社会にするところに主眼があるようです。
こういう事態に至ると、法律事務所は一部の大規模共同事務所を除いては超零細事業体ですから(僕のいる事務所も弁護士11名・事務員7名ですが、これでも千葉県下では最大級規模になります。)、そうそう新規登録した弁護士を吸収できるわけではありません。
弁護士増員を叫んでいた層の中には、企業内弁護士といって、弁護士資格を有している人材を会社で採用していくということも言われていました。弁護士には、弁護士会の懲戒制度を背景に高い倫理感が求められますので、最近話題のコンプライアンス(法令遵守)のためとかなんとかということなんだそうです。僕はこういうやり方に疑問をもっていますが、それはともかく、実際には企業内では当初期待されていた程には吸収されていないようです。もともと企業内弁護士の風土がなかった日本の企業社会では、法務スタッフが充実していたたため、アエとコストのかかる企業内弁護士を雇用する必要はなかったということでしょうか。そうだとすると、弁護士増員を言っていた人たちは、この司法修習生たちにどう責任をとるつもりなのでしょうか。
また、こうなることは分かっていたのに、さんざん司法修習生を採用した最高裁はどう責任をとるのでしょうか。
それと、私たちが心配するのは、食い詰めた弁護士が不法勢力やそれに類する人たちに利用されないかということです。法律家が増えたとしても、日本社会がアメリカ張りにガチガチの法化社会になることはなさそうです。少なくともすぐには。「節は食わねど高楊枝」をやれる人は少なく、むしろ、「衣食足りて礼節を知る」とはいうところです。
どちらにしても、弁護士もこれからはパイの取り合いになります。
他方、弁護士が不足している地域も沢山あります。僕が登録している千葉でも、千葉・船橋・市川周辺と松戸にはそれなりの数の弁護士がいますが、それ以外の地域はとても少ないです。トラブルに巻き込まれたので弁護士に相談したとしても、既に相手方の相談を受けていたり、等の相手方の依頼を受けていたりということもあります。でも、医師の数が増えても地方の医師の数がそれほどは増えなかったことからすると、地方の弁護士を増やすためにはそれなりの手当をしなければならないでしょう。
更に実は、弁護士増員→司法修習生増員は、司法修習も弱体化させています。司法修習の期間は減り、そのためカリキュラムは減らされ、社会の複雑さとは裏腹に研修量は減少するということになっています。司法修習のための予算をそんなには増やせなかったためでしょう。また、司法修習期間中は各地の裁判所・検察庁・法律事務所の実務を見聞することになりますが、司法修習生の数が増えれば一人あたりが見聞できる事件の数も勢い少なくなるということになります。
とにかく、大変な時代がやってきました。難関の司法試験に合格しても就職難、というのでは目も当てられません。弁護士の質を維持するための制度設計も危うく、これは社会的にもマイナスです。でも、現実に問題が発生しています。解決は待ったなしです。どうなるというのでしょう・・・。
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