消費者保護に潜む監視社会への途
最近気をつけなければ行けないと思い始めているのが、消費者保護が監視社会化の突破口として利用されているのではないかということです。
近ごろ各地の役所で防犯グッズの展示をしています。「体感治安」という言葉が作り上げられて、人びとの不安感が更に煽られています。まぁ、報道を見る限り、町中の凶悪事件が相次いでいますから、それはそれで全く理由がないとはいいません。でも、ときどき、子どもに「防犯」などと書かれた幟旗をもたせて大勢練り歩いているのは、どうにも異様です。子どもを政策宣伝に使うのはナチスドイツでもそうでしたが、直接攻撃をしづらい存在である子どもを大人の盾にするのは、それ自体、良くないことのように思われます。
そんな中、「ヤミ金チラシを警察と一緒に撤去しよう」という案内がまわって来ました。
何を根拠にそんなことができるのかと思えば、屋外広告物法なのだそうです。これは、どのようなことが書(描)かれているかにかかわらず、一定の方法による広告物を行政が禁止することができるという代物です。僕は、表現の自由の観点からして余りにも広範な規制をかけるもので、違憲だと思っています。
たしかに、ヤミ金被害を撲滅するためには広告規制が必要だということは理解できます。それなら、それ用の規制条例などを検討すべきだと思います。現に、ピンクチラシについては規制情勢が各地にあります(子どもに見せたくないし、人身売買の温床になり、それが暴力団の資金源になっている可能性もあります。)。
さらに問題なのは、警察と住民が一緒になって撤去作業を行うことです。
警察は一応法律上の根拠をもって撤去作業をします。ところが、住民はどうでしょう。一般住民はいいなんてどこにも書いてありません。法律の根拠もなく撤去したら器物損壊罪という犯罪が成立してしまいます。
今回の撤去活動は、どうやら警察の補助員としての資格で行うんだそうですが、屋外広告物法は、どこをみても、警察業務を他人に外注に出していいなんて書いてません。取り締まる警察が一緒なんだからいいじゃないかと言うんでしょうか。ヤミ金融業者が警察に被害届を出しに行くという可能性はありませんが、それをいいことに警察がルールを無視するのは看過できません。
それは、屋外広告物法は、上に述べたように、どのようなことが書(描)かれているかには関係なく規制をかける法律だからです。ヤミ金だからだめとは書いていないのです。このような法律を安易に運用させたら「気に入らないものはみーんな撤去、撤去」になりかねません。おそらく、町中にある飲食店の立て看板、不動産業者のチラシ、いずれも撤去の対象になり得ます。逆にそれをしないのであれば、恣意的な運用を可能にする法律だということになり、やっぱりよくありません。
そんな問題があるので、屋外広告物法は、今まであまり活用されませんでした。だのに、今活用し始めていることが何故かを考えなければなりません。僕は、戦争を行う国づくりに向けて、国民を動員する足掛かりにしようという狙いがあるのだと思っています。誰もヤミ金チラシ撤去なら反対しませんから。それで見料国動員されることにならしていこうという魂胆なのではないかと勘ぐっています。だからこそ、違法金融業者の広告規制はどうあるべきかと、事態に直に向き合った問題設定を回避しているのだと思えてなりません。
それから最後に一つ、最近気になっているのは、違法な訪問販売を地域で監視しようという大宣伝です。僕はこれはこれで賛成できます。地域の温かい目でお互いを助け合う、そういうのが欠けていたところに目を付けた警察が、警察中心の監視社会化を推し進めているのですから。でも、住民みんなで監視しようという文脈には、常に警察が市民生活を監視しようとする芽があることを決して忘れてはならないと思います。
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