ビラ配布は建造物侵入?!
今日、葛飾ビラ配布事件の控訴審判決があったとの報道がありました。集合住宅のドアのポストに共産党のビラを入れた男性が建造物侵入として逮捕・勾留・起訴された事件について、1審は無罪、今日の控訴審判決は逆転有罪(罰金5万円)とのことです。
僕は、1審判決の要旨を入手したときは「現在の司法の水準からしたら、よく考えている判決だなぁ。」と感服していました。
この事案では、集合住宅の入り口にビラを断る旨の札が掲げられていたことから、居住者の許諾があったのかどうかが問題になっていたようです。被告人・弁護団は憲法の表現の自由から説き起こし、さらに居住者の知る権利という観点からもそのような札の射程距離を狭く見るよう主張していたようです。僕は、昨年、千葉県船橋市内で弾圧事件が起きた際、葛飾事件の支援者が「知る権利」の切り口を話しているのをきいて、膝を叩いたことをよく覚えています。
1審判決では「知る権利」について明確に判断した箇所は見当たりませんでしたが、きっと行間に入り込んで判断を裏から支えていたんだろうと思います。
ところが、控訴審判決は、報道で見るかぎり、「表現の自由が保障されるからといって、居住者の財産権まで侵害できない」といっているようなので、1審判決のような絶妙のバランシングはしなかったようです。
だいたい、自由な社会、民主的な社会、というものは、他人の発言に対して鷹揚、おおらかであることが求められます。自分と違う趣味趣向や思想信条をもつ人を許し合わなければ社会は成り立ちません。みたくないもの全部排除していたら、社会生活は成り立ちません。
まして、ことは刑事手続です。罰金とはいえ前科になる話です。その前に23日に及ぶ身柄拘束があります。このようなことで大人が23日も身柄拘束されたら、仕事にも家庭にも社会にも大きな支障が出てきます。そんな不利益が伴う手続なのですから、そう簡単に発動していいわけがありません。まして、有罪とまでするのなら、それなりの根拠が必要です。
札があることの一事をもって有罪としていいのなら、およそ宣伝活動を行っている、ピザ、不動産屋、新聞勧誘員、保険外交員、全て建造物侵入で有罪ということになりますが、そのようなことは常識に反するでしょう。僕たち法律家は、こういうことを「社会通念に反する」という言い方をします。
東京高裁第6刑事部(池田修裁判長)の判断は、法律家として、民主主義社会に生きるものとして、恥ずかしい限りです。断固抗議します。
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