派遣労働法は廃止!せめて超縮小!
今年は本当に忙しく、更新もままなりません。と言っている間に今年も11月になってしまいました。
貧困問題、ワーキング・プア、ここ数年、よく目にするようになりました。僕たちが属する弁護士会でも、昨年、釧路で開かれた、日本弁護士連合会(日弁連)の人権大会で、格差社会問題が採り上げられ、貧困問題の解決に弁護士会をあげて取り組む決議があげられました。そして、今年、富山で開かれた人権大会では、ワーキング・プアの問題が採り上げられ、労働者派遣法についての具体的な立法提言もされました。
今日、久しぶりに載せる記事では、私なりの労働者派遣法の改正案を考えてみたいとも思います。
ズバリ、私は「改正」では生ぬるく、労働者派遣法は廃止すべきだと考えています。自分が責任を持つわけでもない人を派遣して手数料をとる派遣業というのは、要するに、人身売買ではないでしょうか。人間はひとりひとり人格をもち、その人格は尊重されなければならず、誰にも支配されてはならないのです。
ただし、労働者は、生活のために時間を切り売りし、自分の必要性や能力に応じた労務を提供し、その代償として賃金を得ます。それでも、使用者は、労働者の安全衛生には責任をもち、セクハラ・パワハラ・思想差別と言った人格否定は許されないなどの制約を受けます。そのような責任の所在を明らかにし、労働者の地位を不安定にしたり中間搾取によって労務提供の対価である賃金を減らされたりしないように、戦後、長い間、職業安定法により、職業紹介は公的機関(職業紹介所、ハローワーク)でやらなければならないとされてきました。
その例外を設けたのが労働者派遣法です(1985年制定)。
たしかに、技術を身につけた人たちが適材適所で働けないというのは、本人にとっても社会にとっても良くありません。また、そういう人たちであれば労働条件についてそれなりに交渉することができると考えられてもいいでしょう。そういうことを念頭に、労働法学で「労働市場」という言葉が使われ始めたのもこの頃です。
しかし、「小さく産んで大きく育てる」とは、このことでした。対象業務が徐々に拡大され、26業種までいきました。そして、1999年には港湾、運送、警備、医療、製造以外ならいいとされてしまいました。さらには、2003年には製造過程でも派遣労働が許されることになってしまいました。
しかし、「小さく産んで大きく育てる」とは、このことでした。対象業務が徐々に拡大され、26業種までいきました。そして、1999年には港湾、運送、警備、医療、製造以外ならいいとされてしまいました。さらには、2003年には製造過程でも派遣労働が許されることになってしまいました。ここまでくると、「必要なとき必要なだけ派遣してもらい、いらないときにはポイ」ということがほとんど全ての業種に及んでしまうことになります。これが、ワーキング・プアの大きな原因の一つをなしています。ここでは、多くの現場で労災隠しが行われているともいわれています。
私が大学3年生のときのゼミ(民法)で、労働者派遣法の対象外の業務で、労働者と派遣業者との間で登録契約を締結することが違法ではないかという問題を検討したことがあります。1995年のことです。今にして思えば、牧歌的な時代だったなあと思います。バブル景気がはじけて間もなく、就職氷河期がひたひたと近付いてきて、春の就職状況が「何かおかしい」と言われ始めたころのことでしたが、今のような状況は予想もしていませんでした。
現在の状況からいきなり廃止では現実的でないというのなら、その前段階として、労働者派遣の規制をせめて1999年改正前に戻すべきでしょう。そのうえで、
①登録型派遣(常時雇用するのではなく派遣期間を限定して派遣する人を予め登録しておく形態)は全面的に禁止。
②一定期間(3か月とか6か月とか)を過ぎたら直接雇用したものと見なす。
③マージン率を明確に規制。
することくらいは最低限必要でしょう。
現在、労働者派遣法改正案が臨時国会に上程されていますが、このようなものにはなっていません。ここまで進んだ「労働市場」の混乱を改善するのには、ラディカルな法改正がどうしても必要です。
こう言ってはなんですが、従来の労働組合は正規社員の組織率が高く、非正規雇用(不安定雇用)の問題に十分力を注いできたとは言い難いです。厚生労働省の検討会にも労働組合出身の方が入っていましたが、上記のような改正案になっていないのにもかかわらず大きな労働組合が運動を展開していない現在の状況が、非正規雇用(不安定雇用)の問題と労働組合の関係を如実に示しています。
ですから、労働者側で活動する僕が、心を鬼にして、労働組合批判もし、労働者派遣法の廃止を含めた改正提案をこういう形でも発信する責任があると思っているのです。
| 固定リンク
「労働問題」カテゴリの記事
- 派遣労働法は廃止!せめて超縮小!(2008.11.23)
- 労働問題対応は弁護士会の使命(2009.02.22)
- 労使自治と弁護士の関与(2009.03.21)
- 千葉労働弁護団 労働相談ホットライン(2009.05.06)
- 雇用と生活無料法律相談会(千葉)(2009.07.19)


最近のコメント