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2009年3月

原爆症認定集団訴訟高知上杉訴訟高知地裁判決についての声明

1 本日、高知地方裁判所(小池明善裁判長)は、原爆症認定集団訴訟に参加する故上杉卓助さんの遺族が提訴した裁判につき、厚生労働大臣の認定申請却下処分を取り消す、原告勝訴の判決を言い渡した。
 本件判決の最大の意義は、本件での最大の争点であった、上杉さんの申請疾病が、厚生労働省が昨年4月から見直した「新しい審査の方針」でも積極認定の疾病に入っていなかった「虚血性心疾患」につき、はっきりと放射線起因性を認めたことである。判決では、「入市被爆者である卓助の放射線起因性を判断するに当たっては、審査の方針の基準によるのではなく、放射性降下物による被曝の可能性や内部被曝の可能性をも念頭に置いた上で」放射線起因性を判断するのが相当であるとし、本件でも上杉さんが内部被曝した可能性は否定できないと結論づけた。
 そして、地裁は近年の放影研の疫学調査等に基づいて検討し、上杉さんの発症した虚血性心疾患については、放射線起因性を肯定するのが相当であると結論付けた。
2 この高知地裁判決で、本年3月だけでも千葉訴訟での東京高裁判決・広島地裁の第2陣判決につぎ、3度目の原告勝訴判決であり、国は都合16連敗ということになる。
 故上杉卓助さんを含め、集団訴訟の原告のうちすでに63名の方が亡くなっており、その他の原告も高齢化している。国は、国会答弁等で、5月の東京高裁判決を待つとの答弁を繰り返しているが、もはや全国の原告・被爆者には時間がない。
3 厚生労働大臣は、本日の判決を真摯に受け止め、本判決に対する控訴を断念するとともに、直ちに不十分な「新しい審査の方針」を抜本的に見直し、すべての被爆者を救済すべく全面解決に着手すべきである。
    2009(平成21)年3月27日
             日本原水爆被害者団体協議会
             原爆症認定集団訴訟全国原告団
             原爆症認定集団訴訟弁護団全国連絡会
             原爆症認定集団訴訟高知弁護団

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広島地裁判決に対する国・厚生労働省の控訴に強く抗議する

1 原爆症認定訴訟(広島二陣訴訟)について去る3月18日に広島地方裁判所(野々上友之裁判長)が言い渡した原告勝訴判決に対し,本日,国・厚生労働省は不当にも控訴した。
 われわれは,国・厚生労働省が広島地裁判決に対する控訴を断念し,原爆症認定集団訴訟の早期全面解決を求めてきた。その声を無視して,国・厚生労働省は7日後に控訴したのである。
2 厚生労働省は既に15連敗を重ねている。「新しい審査の方針」の積極認定対象外の疾病を原爆症と認める司法判断も定着しており,厚生労働省が述べるように一部の疾病について他の地裁と判断が分かれているということはない。また,同方針では被爆者救済に不十分であることも明らかとなっている。
 その上で,広島地裁判決は,松谷訴訟最高裁判決から7年近くの期間が経過したにもかかわらず,厚生労働大臣が分科会に再検討を促したり,自ら資料を収集して適正な認定判断する等の措置をとらずに却下処分をしたのは,職務上尽くすべき注意義務に違反しているとして,国家賠償責任を認めたもので,当然の判決である。
既に集団訴訟の原告63名が亡くなっている今,厚生労働省がなすべきは,病身で齢を重ねた被爆者に鞭打つような控訴をすることではなく,自らの職務上の注意義務に誠実に向き合い,被爆者援護法の精神に即して「新しい審査の方針」を速やかに再改定するともに,集団訴訟を全面解決することである。
3 我々は,国・厚生労働省の不当な控訴に断固として抗議し,原爆症認定集団訴訟の全面解決と原爆症認定基準の抜本的改正が実現されるまで全力を挙げる決意を表明する。

 2009年3月25日

    原爆症認定集団訴訟全国原告団
    原爆症認定集団訴訟広島原告団
    原爆症認定集団訴訟弁護団全国連絡会
    原爆症認定集団訴訟広島弁護団
    日本原水爆被害者団体協議会
    広島県原爆被害者団体協議会
    原爆症認定集団訴訟支援全国ネットワーク
    原爆症の認定を求める集団訴訟を支援する広島県民会議

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厚生労働省の不当な上告に対する抗議声明

原爆症認定訴訟(千葉一次訴訟)について去る3月12日に東京高等裁判所第21民事部(渡邉等裁判長)が言い渡した一審原告勝訴判決に対し,本日,厚生労働省は不当にも上告受理を申し立てた。
本件東京高裁判決は,原爆放射線被曝が,わずかな被曝線量であっても被爆者の身体に深刻な影響を長期間にわたって及ぼし続けること,原爆放射線が原因となる疾病はがん等「新しい審査の方針」の積極認定対象疾病に限られないことを明らかにし,集団訴訟の高裁判決としてははじめてC型肝炎ウイルス由来の肝硬変の放射線起因性を認めたほか,心筋梗塞や脳梗塞についても放射線起因性を認めたものであり,被爆の実相を直視し,被爆者援護法の精神を実現しようとしたものである。
 本件上告受理申立てにあたり,厚生労働省は,東京高裁判決が被爆者援護法の解釈適用を誤っているとしている。しかし,厚生労働省が自ら策定した「新しい審査の方針」を素直に読めば,当然,被爆者援護法にいう放射線起因性の解釈は東京高裁判決が判示するとおりのものとなるはずである。そのような判決に不服を申し立てるのは,いたずらに審理を長引かせるものであり,病身を押して闘っている被爆者に更なる苦痛を与えるものである。
 今,厚生労働省に望まれるのは,国民の生命と福祉に責任のある行政機関として,「新しい審査の方針」策定後も認定行政を批判し続ける司法判断を真摯に受けとめ,全国の訴訟を全面的に解決するとともに,原爆症認定基準を被爆の実相に即したものにするよう抜本的に改めることである。今回の上告受理申立ては,被爆者救済を求める司法判断とこれを支持する国民世論に背き,厚生労働省の威信をも損なうものである。
 既に306名の全国原告団のうち63名が鬼籍に入った。訴訟解決にはもはや一刻の猶予もない。
 我々は,厚生労働省に対し,上告受理申立てをただちに撤回し,被爆者救済に協力することを強く要望するともに,早期に原爆症認定集団訴訟を全面解決させ,原爆症認定基準が抜本的に改正されるまで全力を挙げる決意を表明する。
 2009年3月25日
原爆症認定集団訴訟全国原告団
原爆症認定集団訴訟千葉県原告団
原爆症認定集団訴訟弁護団全国連絡会
原爆症認定集団訴訟千葉県弁護団
日本原水爆被害者団体協議会
千葉県原爆被爆者友愛会
原爆症認定集団訴訟支援全国ネットワーク
原爆症認定集団訴訟を支援する千葉の会

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原爆症認定広島第2陣集団訴訟判決についての声明

1 本日,広島地方裁判所民事第1部(野々上友之裁判長)は,原爆症認定集団訴訟・広島第2陣訴訟に関し,未認定原告3名及び認定原告2名についての未認定疾病に係る厚生労働大臣の認定申請却下処分を取り消すとともに,一部の原告についてではあるが,初めて国家賠償責任を認めた。国家賠償責任を認めた理由として,いわゆる松谷訴訟の最高裁判決から7年近くの期間が経過したにもかかわらず,認定審査をする分科会が,放射線起因性を否定する意見をとりまとめたことに対し,厚生労働大臣が分科会に再検討を促したり,自ら資料を収集して適正な認定判断する等の措置をとらずに却下する処分をしたのは,職務上尽くすべき注意義務に違反しているとした。また,放射線起因性の判断に関しては,通常人の納得し得る程度に合理的に説明し得るものであることが証明されれば足りるとし,さらに,線量評価はDS86やDS02によって正確に計算することはできないといわざるを得ず,この計算の不確実性が,原爆放射線の人体への影響を考慮する上で,無視できるものであるとはいえないとし,DS86による線量評価の正確性を否定した。
2 本裁判では,慢性肝炎1件,慢性C型肝炎1件,C型肝硬変1件,白内障1件,熱傷後の未認定疾病について,放射線起因性を認めており,被爆の実態に沿った判断を示すと同時に,新しい審査の方針の基準あるいは運用の不合理性を明らかにしたものとして,評価できるものである。
3 すでに,大阪,広島をはじめ全国のべ11地方裁判所において,同様の判決が繰り返され,仙台,大阪,東京(一審千葉地裁)では,被爆者全員を原爆症と認める高裁判決が確定している。
 今回の判決により,国は原爆症認定集団訴訟において15連敗となった。
昨年4月から行われている「新しい審査の方針」以降も,既に3高裁,7地裁が積極認定の範囲外の疾病について放射線起因性を認めており,現時点でも原爆症認定行政が狭く被爆者救済に程遠いことは明白である。
 厚生労働大臣に対しては,原爆症認定についてこれを根本的に批判する司法判断が定着しているということを厳粛に受け止め,原爆が被爆後63年を経過してもなお被爆者の身体と心と暮らしを傷付け続ける非人道的な兵器である事実を直視することを求める。
原爆症認定集団訴訟の取り組みが始まって約6年,既に63名の被爆者が亡くなっている。
厚生労働大臣は,本判決の内容を真摯に受け止めて本判決に対する控訴を断念し,不十分な「新しい審査の方針」を抜本的に見直すとともに,全ての被爆者を救済すべく全面解決に着手すべきである。
          2009年3月18日
       原爆症認定集団訴訟全国原告団
       原爆症認定集団訴訟広島原告団
       原爆症認定集団訴訟広島弁護団
     原爆症認定集団訴訟弁護団全国連絡会
            日本原水爆被害者団体協議会
             広島県原爆被害者団体協議会
  原爆症の認定を求める集団訴訟を支援する広島県民会議

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原爆症認定集団千葉訴訟東京高裁判決についての声明

    原爆症認定集団千葉訴訟東京高裁判決についての声明

1 本日、東京高等裁判所第21民事部(渡邉等裁判長)は、原爆症認定集団訴訟・千葉第一次訴訟に関し、未認定原告2名について、厚生労働大臣の認定申請却下処分を取り消すとした原判決を維持し、厚生労働大臣の控訴を棄却した。
2 すでに、大阪・広島をはじめ全国のべ11地方裁判所において、同様の判決が繰り返され、仙台・大阪では、被爆者全員を原爆症と認める高等裁判所の判決が確定している。
 本日の東京高等裁判所における判決も、原爆被爆者を救済の対象から排除する根拠としてDS86及びDS02による被曝線量の推定計算の結果を用いることは、これによっては賄いきれない事態が生じていることから、援護法の趣旨目的に照らし、相当であるとはいえないとしている。
 そして、「新しい審査の方針」に明記されていないがん以外の疾患についてもがんと同様に考えるべきであるとして、新しい審査の方針では救済が不十分であることを指摘する内容となっている。
3 本判決は、原判決に引き続き、肝機能障害について放射線起因性を認めているが、これは集団訴訟では高等裁判所における初めての判断であり、高く評価できるものである。
4 今回の判決により、国は原爆症認定集団訴訟において14連敗となった。
昨年4月から行われている「新しい審査の方針」以降も、既に2高裁、7地裁が積極認定の範囲外の疾病について放射線起因性を認めており、現時点でも原爆症認定行政が狭く被爆者救済に程遠いことは明白である。
  厚生労働大臣に対しては、原爆症認定についてこれを根本的に批判する司法判断が定着しているということを厳粛に受け止め、原爆が被爆後63年を経過してもなお被爆者の身体と心と暮らしを傷付け続ける非人道的な兵器である事実を直視することを求める。
 原爆症認定集団訴訟の取り組みが始まって約6年、既に63名の被爆者が亡くなっている。昨年11月19日、河村建夫内閣官房長官は「東京高裁判決がタイムリミットだ。それ以上(解決を)遅くすることはない」と明言している。厚生労働大臣は、本判決の内容を真摯に受け止めて本判決に対する上告を断念し、不十分な「新しい審査の方針」を抜本的に見直すとともに、全ての被爆者を救済すべく全面解決に着手すべきである。

            2009年3月12日

           原爆症認定集団訴訟全国原告団
           原爆症認定集団訴訟千葉県原告団
           原爆症認定集団訴訟千葉県弁護団
           原爆症認定集団訴訟弁護団全国連絡会
           日本原水爆被害者団体協議会
           千葉県原爆被爆者友愛会
           原爆症認定集団訴訟支援全国ネットワーク
           原爆症認定集団訴訟を支援する千葉の会

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労使自治と弁護士の関与

また更新が空いてしまいました。
前回(下)は労働問題への弁護士の関与が必要とされることについて書きました。今回は、そのことの問題点を考えてみたいと思います。
基本的な視点は、労使関係は一過性のものではなく(八百屋で大根を買って代金を払えばその売買はとりあえず終わります)、生活の糧を得るために労働者は働き続けなければならず、事業を続けていくためには使用者は労働者を一定期間雇用するという、継続的なものであることです。
そこでの登場人物である労働者と使用者との間には圧倒的な力関係の差がありますから、労働者一人ひとりと使用者との相対の交渉で労働条件を決めたりすると、労働者に不利になりがちです。労働者は使用者にとっては多くの場合「替えのきくもの」であるのに対し、一人ひとりの労働者にとってはそこで雇われなければ生活していくことができないという関係があるからです。
そこで、労働条件の最低限を決めるために労働基準法や最低賃金法などの法律が定められたり、労働者の団結権を保障して労働組合が使用者との交渉にあたることができるような法体系が整備されていったのです。労働組合があったりして、集団として労使交渉に当たれば、使用者とたたかう仲間が職場にいるわけですから、孤立することなく、使用者に誠実な対応を求めることができるというわけです。

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