あの芸能人の「刑事事件」―弁護士はこう見る
最近、公然わいせつ罪の現行犯として逮捕された芸能人のことが盛んに報道されています。鳩山総務大臣が「最低の人間」と言ったり、この芸能人の自宅に捜索が入ったり。捜査活動に入った赤坂警察署には市民からの苦情が殺到したという報道もあります。弁護士の目から見たら鈍なことが問題になるか、紹介してみます。
1)逮捕;必要ないと思われます。
逮捕は、後の裁判に備えて逃亡や証拠隠滅を防ぐためにするものです。著名な芸能人がそうそう逃亡生活をできるわけではありませんし、全裸で講演にいた様子は警察官が現に見ているというのですから、その警察官の目撃証言を確保すれば、それ以上隠滅する証拠はないはずです。
だいたい、公園で酔っぱらって裸で騒ぐなどという光景は、お花見シーズンになれば方々で見られるものです。そういう人たちを警察が片っ端から身体拘束していった、などという話はきいたことがありません。
2)自宅の捜索:別件捜索の疑いがあります。
捜索は、後の裁判に備えて証拠を探しに行く手続です。
今回かの芸能人が捕まった事件は「夜、公園(=不特定の人の眼に触れる可能性がある場所)で裸になっていた」という「公然わいせつ」というものです。その証拠は、上で書いたように、警察官の目撃証言で足りるはずです。それ以上、自宅に入って、「公然わいせつ」を証明するためのどんな証拠を集めてくるというのでしょう。
捜索は、対象となった人のプライバシーを侵害するものですから、それなりの必要性が求められます。
今回の捜索は、薬物使用の根拠を求めたのではないかと推測されます。たしかに公園で裸で騒ぐというのは薬理作用で正常な判断ができなくなった可能性がないわけではありません。でも、化の芸能人は泥酔していたというのですから、アルコールのせいだと考えるのが普通でしょう。もちろん、酒を飲むこと自体は犯罪でも何でもありませんので、仮に自宅に酒瓶がごろごろしていたとしても、だから処分を重くすべきだとかという話にはならないはずです。裸で騒いでいた、ということだけから薬物使用を疑ったとしたら、飛躍しぎです。
最近は薬物を使用する芸能人(だけではありませんが)の報道が続いています。それでかとも思います。
でも、そうだとすれば、公然わいせつの名を借りて薬物事件の捜索をする、別件捜索ということになります。
気をつけなければならないのは、この捜索は、裁判官の許可状が出ているということです。僕は、この裁判官の見識を疑います。よく日本の裁判所の令状審査は甘いと言われますが、そもそも刑事事件にするほどのことでもないことで、しかも不必要で別件のための疑いがぷんぷんする捜索を許可したというのは、非常にゆゆしきことです。
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