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解題・原爆症認定訴訟の3月

 しばらく更新していなかったと思ったら、原爆症認定訴訟絡みばかり6連発になってしまいました。勝訴判決・上訴、の連続です。
 それにしても、集団訴訟になってから国は16連敗を重ねてしまいました。
 とりわけ、3月12日の東京高裁判決と18日の広島地裁判決は、今までの司法判断とは質的に異なるところに到達しました。
 東京高裁判決は、わずかな線量の放射線に被曝しただけでも後年がんになる可能性があること、がん以外の病気でもがんに準じて扱うことができる場合があることを直視し、そうした病気と放射線被曝との関係が認められていれば、個々の被爆者の疾病の放射線起因性を事実上推認せよとしたものです。昨年3月に厚生労働省が策定した「新しい審査の方針」は、本来、そのような発想に立ったもののはずですが、被爆距離や疾病の範囲で不合理な線引きが残っています。東京高裁は、その点を明確に批判し、「行政がやらないなら我々がやる」と言わんばかりに「認定基準の提示」という項目まで設けて解決枠組みを提示しました。
 広島地裁判決は、今まで厚生労働省が「専門家」の審査会に判断を丸投げする格好をとっていたこと、それゆえに被爆者援護法の趣旨にそぐわない処分が重ねられたことから、厚生労働大臣の調査義務違反を認めました。審査会の意見は意見にすぎないのだから、法律を誠実に執行する責任のある厚生労働大臣は、審査会の意見が被爆者援護法に照らして不十分だと思えば再度照会するとか自分で調査するとかしなければならず、漫然と審査会の意見を聞いていさえすればいいというものではないというのです。
 いずれの判決文からは明確ではありませんが、背景には、たくさんの敗訴判決を受けながら被爆の実態に合わない行政を続けていることに対して、司法が相当苛立っていることがあるのだと思います。何より、この集団訴訟が始まってもうすぐ6年です。時間がかかりすぎています。
 国会内でも、様々な政党の議員さんが質問に立ってくださいました。 新聞も、特に各地の地方紙が被爆者救済を強く求めていました。短期間ですが、政治的な雰囲気はたいへん熱を帯びています。
 厚生労働省も、上告受理申立てや控訴の際のプレス・リリースで「5月末までに予定されている大阪高裁・東京高裁(原審東京)の一連の司法判断を踏まえて適切に対応する」と述べています。つまり、この間の上告受理申立てや控訴は単なる時間稼ぎです。
 今、被爆者や被爆者を支援する人たちに求められているのは、5月には必ず政治解決を勝ち取るという不退転の決意とその水準を少しでも高めるため、被爆の実態を知り、広め、被爆者救済と核廃絶の声を集めていくことです。

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