消費者問題

過払訴訟の増加を口実に訴訟手続を空洞化するのか

産経新聞に次のような記事が出てしました。

*****引用開始

過払い金返還、裁判から「調停」へ 低額負担・簡単手続き活かす
2010.1.2 23:34
 消費者金融への「過払い金返還請求」が原因の民事訴訟急増を受け、最高裁などが「当事者のニーズや紛争のサイズに応じた解決手段の活用」の促進に向けた検討を始めた。特に簡易裁判所の「民事調停」に注目し、1月中にも全国主要簡裁による調停活用の勉強会も発足させる予定になっている。(三保谷浩輝)
 最高裁によると、全国の地裁で平成21年に起こされた貸金返還や不動産明け渡し、各種損害賠償などの民事通常訴訟は前年比約2割増で20万件を突破。19年から3年連続で過去最高を更新しており、最高裁民事局では「急増の原因は過払い請求で、全体の3~5割を占める」と原因を分析する。
 東京地裁でも、民事通常訴訟のうち、過払い請求が大半を占める「不当利得返還請求」の割合は、11年の1.4%から18年以降は19.7%(18年)、29.6%(19年)、35.8%(20年)と増え、21年は45.8%と推定。裁判官の負担もじわじわと重くなっている。
 最高裁は「過払い金請求に時間を取られ、裁判官としてのスキルにかかわる普通の訴訟処理に影響も」と危惧(きぐ)。人員補充に加えて、「コストや時間など当事者のニーズ、紛争のサイズに合った解決手段を利用してもらうのが望ましい」と民事調停や裁判外紛争解決手続き(ADR)、各種行政機関など裁判外の利用促進を目指す。
 調停は、裁判官1人と一般市民の調停委員2人で構成する調停委員会が実情に応じた解決をはかる制度。訴訟に比べて手続きが簡単で費用も低額だが、裁判ほど一般的でなく、利用も減少している。
 すでに東京簡裁では21年4月から調停を積極活用。10月までの過払い金請求訴訟のうち当事者の同意で約200件を調停に移し、7割強を解決した。
 12月に行われた全国主要簡裁の協議会では、簡裁裁判官による調停活用の勉強会を1月にもスタートさせることが決まった。調停の進め方や利用促進のためのPRなどについても話し合うという。
 過払い金請求は早ければ年内にも減少傾向に向かうという指摘もあるが、過払い金請求以外でも調停活用は有効。「過払い金請求で忙しかった弁護士が他の訴訟を手がけるほか、経済情勢の影響など“ポスト過払い”も展望し、合理的処理方法を考えていく必要がある」と最高裁は話している。

*****引用終了

 さて、幾つかの点を整理する必要があります。上の記事では、
1)過払訴訟が増加していて、裁判官の負担が大きい。
2)調停手続は大変便利である。
ということが言われています。でも、物事にはその裏側を見なければなりません。

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雇用と生活無料法律相談会(千葉)

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雇用と生活 全国一斉 無料法律相談会

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●夜遅くまで働いているのに残業代が出ない
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●派遣切りで、寮から出ていけと言われている
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千葉県での実施日時 2009年7月31日(土)午前10時~8月1日午前10時 オールナイト
※千葉県以外では相談の日時・報雨歩が異なりますので、注意してください。
無料電話相談 フリーアクセス 0800-8009884 携帯・PHSからも無料
※無料となるのは千葉県内からの通話だけですのでご注意ください。
主催:日本弁護士連合会・千葉県弁護士会

「雇用と生活無料法律相談会」(千葉)のチラシはこちら

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インプロトテレコム被害対策千葉県弁護団結成

09年7月6日午後1時から、千葉市文化会館(千葉市中央区要町1-1)第1会議室で、インプロトテレコム被害対策千葉県弁護団(団長弁護士拝師徳彦)が、被害者説明会を開きます。
インプロトテレコムというのは、マンション・アパートのオーナーを相手に、光ファイバー配線設備やホームセキュリティー設備の工事を訪問勧誘し、リースやクレジットを使って工事をしていました。その際、賃借人からのシステム料金が副収入になると宣伝し、仮に不足が生じた場合にはインプロトテレコムが差額を負担するのでオーナーには一切費用負担がないといって勧誘していたようです。
実際には、賃借人の契約者は思ったよりも伸びず、不足が生じていました。
昨年まではなんとかインプロトテレコムが補填していましたが、それもできなくなったので、被害が顕在化しました。各オーナーに対してリース会社やクレジット会社から請求が来るようになったのです。
このような被害が首都圏に広がっており、既に東京・埼玉・神奈川では弁護団が結成されて、リース会社やクレジット会社と交渉を進めています。
本件では、クーリング・オフが法律の明文上は否定される事業者が被害者となる等困難はありますが、今までのクレジット・リース被害救済で培ってきたノウハウを駆使して、何とか解決しようと、千葉県内で14名の弁護士による弁護団を結成しました。僕も、かねてより消費者リースの問題に関わっていたため、インプロトテレコム対策弁護団にも加入することになりました。
なお、インプロトテレコムの関連会社にインプロトホーム、類似の被害を起こしている会社にビッグウィンというところがあります。
【インプロトテレコム被害対策千葉県弁護団事務局】
〒260-0013
千葉市中央区中央3-18-3千葉中央ビル7階B-2
たすく法律事務所   Tel 043-222-0741
弁護士 常岡久寿雄

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贅沢な勉強会ふなばし、第2期スタート

僕たちが昨年5月から始めた「贅沢な勉強会ふなばし」も、何とかかんとか1年やっていくことができました。
2年目に突入します。その第2期第1回の勉強会は、琿峻淑子埼玉大名誉教授をお招きしての講演会です。

演題 「行きづまる日本社会の処方箋 ―格差と貧困に立ち向かうー 」
日時 2008年5月24日(土) 12時30分受付,1時開会
場所 船橋商工会議所6階(船橋市本町1-10-10,Tel 047-432-0211)
資料代 1000円(会員以外・学生は半額)

ご案内のチラシはこちら

岩波新書「豊かさとは何か」「豊かさの条件」はとても有名な本ですが、その著者のお話をじかに、しかも会場の一体感を維持できるくらいの中規模の人数(80名程度)を考えています。格差・貧困・労働と、今、日本社会、庶民の暮らしを直撃しているこの問題の背後に何があり、どうして行けば解決できるのかを考える勉強会にしていきたいと考えています。

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多重債務と自死

僕は受任した事件を具体的にカウントしたことはありませんが、抱えている事件の相当多くがいわゆる債務整理です。破産、個人再生、任意整理等と、方針は一件一件の事情に応じて様々ですが。最近は国も重い腰を上げて自殺予防に取り組むようになりましたが、最近、自殺の理由のうち、経済苦によるものが増えているという話です。
昨日、書店に立ち寄り、『お金のために死なないで―多重債務による自死をなくす』(2008年、岩波書店)を買って読んでみました。これは3月に出された本で、読もう読もうと思っているうちに5月になってしまっていました。
その母親が多重債務により自ら命を絶ち、自らも苦しみ抜いた、そうはそうは表に出てこない話を綴った本です。著者は相当聡明な方なのでしょう、非常に読みやすく、一気に読めてしまいます。というより、読み始めると、最後まで書いてあることに向き合い受け止めさせる、そんな空気を作り出す本でした。僕たちの業務は、気をつけないと、ルーチンなものになりがちです。資産と負債、生活状況、家族構成、負債ができた経緯、このようなことが把握できれば、多くのケースでは方針を判断していくことができます。その向こうにある苦悩や法律事務所に来ること自体へのプレッシャーや罪悪感、引け目、払うと約束したことを変えるあるいは払わないと翻すことからくる葛藤、様々な感情を抱えています。そのような、当たり前のこと、でも出発点として忘れてはならないことを確認させてくれました。
そして、このようなことはなかなか表には出てきません。それを勇気をもって社会に発信した著者には心から敬意を表したいと思います。

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冷凍餃子問題

あれから1か月、卑怯な僕は、まずは様子見。その間、いろいろな報道が出てきました。メタミドホスやら何やらと、農薬のことを知らない僕には、この迫力のあるラテン系の響きは、ギリシアの偉人か何かと勘違いしてしまいそうになります。
ものの本で調べてみると、有機リン系化合物で、かのサリンと同様の性質があるのだとか。報道を眺める限り、入院しなければならないほどの被害が出たのは、千葉と兵庫の方だけのように思われます。
僕には、これは起きるべくして起きた事件と思われるのです。日本が安価な材料・地代・労働力を求めて海外で事業を始め国内に出荷するというのは、雇用・生産・流通の過程を複雑にし、さまざまなリスクを孕むことになります。それにもかかわらず、十分なチェック体制がなかったのです。最近、企業法務を扱う法律雑誌でも、このような視点で書かれた論考を目にしました。
僕としては、検疫や物流に責任のある厚生労働省や経済産業省の責任は重いと思います。
そして、千葉市は、何と昨年12月のうちに毒物が付着した餃子が持ち込まれながら検査しなかったと言うではありませんか。しかも、報道によると、市の担当者は、「どうせ会社が検査したろうから上塗りになってしまう」と回答したとのことです。それでは、行政が独立した検査をする意味がありません。
ところで、行政のコメントも雑誌の論考も、将来にわたって同種被害を繰り返さないための方策については色々書かれています。ここで置いてきぼりにしてはならないのは、実際に被害を受けた人たちの救済でしょう。今回問題になっている農薬にサリンのような性質があるというのであれば、ことは重大です。神経障害が残らないかどうか、注視しなければなりません。また、この毒物がどこで混入したのかの解明には日中両政府によっても困難を極めているようですが、少なくとも、このようなリスクのある流通過程を作り上げ、そのリスクが現実のものとなった以上は、流通過程を設定した商社・買付業者の責任がないとはいえないのではないでしょうか。
将来の被害防止を展望するためにも、今回の被害発生のメカニズムを解明することは必須の作業です。政府ができないことは民間のオンブズパーソン的な活動ができないのか、いろいろと考えています。

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消費者庁構想について

今日の新聞に、福田康夫首相が「消費者・生活者の視点に立った行政への転換」の一環として消費者庁を設置する法案を提出すると発言したと報じられていました。
今までは消費者・生活者の視点に立っていなかったんかい!宗でなければ誰の視点だったんだい!というツッコミは、これを言うだけにとどめるとして、たしかに、消費者問題を扱う行政庁は多岐にわたっており(金融庁やら経産省やら場合によっては厚生労働省に文部科学省もそうですし。もちろん法務省も。)、一元化した方がいいという意見が出てくるのも分かります。
政府の案としては、まだ具体的に展開されているわけではなく、海のものとも山のものともつかぬものなので、評価は避けたいと思いますが、消費者問題に関心を寄せ若干の実務を経験してきたものとして言えることを箇条書きにしてみたいと思います。
①消費者問題―とりわけ嚆矢になった偽装問題を念頭に置けば―は、情報格差(業者の専門性)、被害の広範さ、被害は一気に広がりあっという間に倒産するか引き揚げられることから迅速な対応が求めるられる、という特色があり、民間のオンブズパーソンや司法部門(民事・刑事)の活動だけでは不十分で、行政が専門性を発揮した事前の広範な規制が必要な面があります。
②他方、事前の広範な規制は、反面、行き過ぎると、先行きが微妙な活動を萎縮させ、自由な刑雑活動を阻害する危険があるので、さじ加減が難しいです。
③どの範囲を消費者問題として捉えるかが難しい。これを狭く考えると、取りこぼしが出てきます。とりわけ、悪徳商法は、新しい制度ができてはその隙間をかいくぐって新しいものが生まれていくので、いたちごっことなる宿命を負っています。柔軟性が求められます。
④この消費者庁設置を機会として、新たな弱者切捨て政策が生まれないよう注意しなければなりません。保険業法改正によって、市井の共済組合が危機に晒されています。こういうことはあってはならないでしょう。

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多重債務相談ウィーク

先週、各地方自治体で「多重債務相談ウィーク」と称して、多重債務者向けの無料相談会が行われました。
千葉では、12月12日(水)、千葉・松戸・館山の3市で実施され、当局からは、面接相談81件、電話相談23件、合計104件の相談があったとの報告がありました。
「格差」やら「貧困」やらと騒がれている中、ともかくも、このような形で行政を巻き込み、弁護士会・司法書士会・クレサラ被害者の会が入って相談窓口を設置できたということは、とても大きな意味があると思います。これらの団体は多重債務問題に対する見識・経験を深めていますが、あくまでも私的団体であり、広報や設備、スタッフの規模には限界があります。その点で行政は民間では実現しきれない大きな力をもっています。これらがタイアップできたという経験は、これからの活動にとって、とても大きな一里塚になることでしょう。
そういう目で今までの様子を振り返ると、よくもここまできたものだという感じになります。5年ほど前、ヤミ金融が全盛の時代には警察に行っても相手にして貰えず、かえって「借りて返さないのが悪い」「合意していたんだろう」「傷つけられたときに来い」などと無茶苦茶なことを言われて相手にされませんでした。今では、各地の警察も、そのころよりはだいぶ積極的にヤミ金融を摘発するようにもなりました。サラ金問題に関しても、出資法の上限金利の引き下げに関連して各地で大運動を展開したことはまだ記憶に新しいところです。相談に訪れる方にも「グレーゾーン金利」について知っている人が増えてきました。
日本社会では、困ったときには警察・行政というくうきがまだまだ強く、行政がともかくも第一次的な窓口になることが多いです。各地の弁護士会も、行政との連携を強めています。
ただし、僕の個人的意見(弁護士会や当該委員会その他僕が参加している団体の意見というわけではありません。)としては、10月28日付けの記事でも書いたように、行政が消費者問題に介入することについて一定の危惧をもってはいます。被害救済という必要から生まれた連携と、権力がもつ危険性とのバランスをうまくとりながら進めていくという観点を忘れてはいけないとは思います。

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節電器詐欺事件、終結近づく

僕が千葉の大勢の若手弁護士とともに4年ほど前から進めているクレジットトラブルに関する事件が終了しようとしています。
アイディックという会社が(主に)節電器を販売していましたが、それはいわゆる変圧器で、実は節電効果など殆どなく、それどころか接続した機器に不具合が生じるような代物でした。そのようなインチキ商法をする会社は破産するに至りました。そのような取引では、クレジットが組まれていました。アイディックはつぶれましたが、顧客たちには多額のクレジット負担が残りました。被害者の多くは中小零細事業者で、この商品は、そうした事業者が少しでも経費を浮かせたいという切実な思いにつけ込んだものでした。
この被害は全国に広がり、全国で消費者問題に取り組む弁護士たちが集結し、各地で弁護団を結成し、全国で連絡会議をもつに至りました。
僕も当初から弁護団に加わり、被害者説明会に立ち会い、3人の原告を担当しました。
その後4年間、僕たちは、クレジットこそ悪徳商法の温床であり、詐欺の被害が発生したときには信販会社は共に責任を負担すべきと主張してきました。一時金が用意できなくても分割払いなら払える、怪しげな商品であっても分割払いだから抵抗も薄らぐ、販売店は信販会社から代金の立替払を受けるのでリスクを負担しない、信販会社は手数料を稼げる。こうした仕組みの中で、今までもココ山岡など多くの詐欺商法が表れては消えてきました。

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消費者保護に潜む監視社会への途

最近気をつけなければ行けないと思い始めているのが、消費者保護が監視社会化の突破口として利用されているのではないかということです。
近ごろ各地の役所で防犯グッズの展示をしています。「体感治安」という言葉が作り上げられて、人びとの不安感が更に煽られています。まぁ、報道を見る限り、町中の凶悪事件が相次いでいますから、それはそれで全く理由がないとはいいません。でも、ときどき、子どもに「防犯」などと書かれた幟旗をもたせて大勢練り歩いているのは、どうにも異様です。子どもを政策宣伝に使うのはナチスドイツでもそうでしたが、直接攻撃をしづらい存在である子どもを大人の盾にするのは、それ自体、良くないことのように思われます。
そんな中、「ヤミ金チラシを警察と一緒に撤去しよう」という案内がまわって来ました。
何を根拠にそんなことができるのかと思えば、屋外広告物法なのだそうです。これは、どのようなことが書(描)かれているかにかかわらず、一定の方法による広告物を行政が禁止することができるという代物です。僕は、表現の自由の観点からして余りにも広範な規制をかけるもので、違憲だと思っています。
たしかに、ヤミ金被害を撲滅するためには広告規制が必要だということは理解できます。それなら、それ用の規制条例などを検討すべきだと思います。現に、ピンクチラシについては規制情勢が各地にあります(子どもに見せたくないし、人身売買の温床になり、それが暴力団の資金源になっている可能性もあります。)。
さらに問題なのは、警察と住民が一緒になって撤去作業を行うことです。
警察は一応法律上の根拠をもって撤去作業をします。ところが、住民はどうでしょう。一般住民はいいなんてどこにも書いてありません。法律の根拠もなく撤去したら器物損壊罪という犯罪が成立してしまいます。

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